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二子渉

非難を聞くのはつらい。痛みならまだ聴ける。

更新日:2022年8月27日

僕は、この社会に蔓延する「男性のダメさ」みたいなものについての非難に触れるのが苦手だ。


「なんでこんなこともわからない男性がこんなに多いのか!」

「なんでこんな時代遅れな男が今でも生きてるのか!」

「こんな無自覚な差別をしてるおっさんがまだいるよ!」


みたいなやつね。

(中には「男は」って一括りにする声もあるけど、さすがに僕の周りには少ない。)



こういうのを見聞きするたびに、いや〜〜な気持ちになってた。

先日、このいや〜な気持ちの構造がクリアに見えてきた。

それがけっこう大事なことのように思えるのでシェアすることにしてみたの。



***



誰か女性個人による「私はある男性にこんなことを言われて、傷ついた気持ちになった。」「こんなことされて、たいそう嫌だった」っていう文章なら、「そうか〜。それは僕が代わりに謝りたいくらいだわ〜」って思ったりするんだよな〜って思って。


「私のことではないけれど、こんな事件があって、私はそれを聞いてとても胸を痛めている。」っていうなら、「本当にそうだよね。僕も胸が痛む。」っていえることも少なくないな〜って思って。


つまり、本人の体験した痛みが語られるなら、それは聴けるし、寄り添えるし、力になりたいと思う。



大事なところだからもう一回言うけど、本人の体験した痛みが語られるなら、それは聴けるし、寄り添えるし、力になりたいと思う。



そう思ってるよなあとまず気づいたの。



***



でも最初に書いたような文章、僕が苦手なことばや文章は、残念ながら個人の痛みではない。誰かの否定、誰かへの攻撃だ。

その無自覚な男たちに僕が入るのかどうかは相手が決めることのようだし、相手がそうとみなしたら暴力的に関わられてもおかしくない。

実際いわれのないことで暴力的に関わられてきたことが、僕の個人史の中にはそれなりにある。僕は本当ならそんな暴力をよしとしてはいけなかったと今はわかる。



まあとにかく、そんなふうに不用意で防衛的で攻撃的なことば、文章。

傷ついた子どもの意識のことばだし、大人が使うならとても暴力的になりうる。


その暴力が公然とまかり通っているような言論空間は、僕にとってはとても怖い。

いつ流れ弾が飛んでくるかもわからないし、流れ弾が当たってもむしろざまあみろとか、元々はお前が悪いからだくらいに言われかねない危険地帯。だったら近づかないのが自分を大切にするということになる。



***



ただここで、さらに大きな問題は、そんなふうに話している人たちと僕は通じ合いたいとも願っていることなんだ。避けて遠ざかって、はい、めでたしめでたしとは思えないところなんだ。


だから近づくのも怖いし遠ざかるのも痛みがあって板挟みになる。これがいや〜な気持ちの正体でもある。


本人の体験した痛みが語られるなら、それは聴けるし、寄り添えるし、力になりたいと思う。全部じゃないかもしれないけれど、誰かへの非難や攻撃よりははるかに聴ける。


そして僕のその意図や願いは、こうしたトピックではけっこう無視されてきたという痛みがある。僕がそれを無視されることを、よしとしてしまった痛みもある。


でも共により良い未来を築くために手を携えようと思うなら、僕が体験する痛みにも耳を傾けられる必要がある。



みたいなことが見えたってわけでした。


痛みを、自分の痛みとして語ることで、そしてそれを聞くことで、手を繋ごうよ、ということ。

それが僕が仲間たちと選んでいきたい道。

とくにパートナーとの間でも実践していくことを、選ぶ人たちと共に生きていたい。



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